MARKETING STRATEGY [顧客を創造する戦略]

1.マーケティングの概念

「マーケティングの理想は、販売(セールス)を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」日本に馴染みのある経営学者ピーター・F・ドラッガー氏の定義は起業家・ビジネスマンに最も理解しやすい。また、事業の目的は「顧客の創造である」とも述べている。要するに「顧客を理解し売れる仕組みをつくること」であると云えます。

2.マーケティングフレーム

マーケティングは「顧客を理解し売れる仕組みをつくる」ことですから、「売れる」ようにするためには、特定のターゲット顧客のニーズを知り、そのニーズを満たす商品を開発し、顧客が商品を認知し、価値を理解し手にする場所に商品が置かれて、適切な価格で提供することで「売れる」ようにすることです。この一連の要素を確認するために開発されたものが「マーケティングフレーム」です。
顧客を理解するSTP分析とは、市場を何らかの軸で細分化し、共通するニーズを持つグループに分割するセグメンテーション(Segmentation)、細分化したグループ各々について自社の商品・サービスとの親和性や市場の有望さなどから優先順位を定めるターゲティング(Targeting)、競合商品・サービスとの対比の中で自社の商品・サービスの位置づけを定めるポジショニング(Positioning)という、商品・サービスを消費者に訴求する前に行うべき一連の分析・検討事項を示すものです。
STP分析により定めた顧客に対し、企業がコントロール可能なマーケティング要素「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション(Promotion)」の4つのPを適切に組合せて売れる仕組みづくりを検討します。また、顧客視点での検討には、Custmor Value(顧客にとっての価値)、Customer Cost(顧客にとっての費用)、Convenience(顧客にとっての利便性)、Communication(顧客とのコミュニケーション)の4つの要素で検討します。4P分析が自社でコントロールできる要素を軸にしていたのに対して、4C分析で顧客視点でも検討しながら戦略を具体化していきます。

3.マーケティング戦略

マーケティング戦略は、製品ライフサイクルによって変える必要があります。製品ライフサイクルは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階に分かれ、これに5段階ある顧客層と照らし合わせて、顧客への普及過程の中で関心度の兼ね合いから判断します。
導入期は、イノベーターとアーリーアダプターと呼ばれる顧客層が購入する段階です。イノベーターはとにかく1番先に試したい層で、アーリーアダプターは情報感度が高く、展示会やWeb、書籍などからも積極的に情報を取得する層です。このアーリーアダプターをどう攻略するか、アーリーアダプターに当たる人たちでどう上手く成功事例を作るかが、アーリーマジョリティーの開拓を行っていくための重要な戦略となります。
例えば初期市場の消費者は新しいことに”価値”を感じ、製品やサービスを購入する傾向にありますが、メインストリーム市場(成長期)のユーザーはそうとは限りません。誰かのお墨付きがある、商品クオリティが安定している、費用対効果が高い、周囲の人々が既に使っているなど、安心して購入できる理由が必要です。そして、アーリーアダプターからアーリーマジョリティへ商品が普及する段階には大きな溝があることはわかっています。その溝を超えられるかが、商品普及の重要な鍵になります。

4.バリュープロポジション

マーケティング戦略をつくる上で最重要課題である「売れる」の確立を上げるには「顧客を理解し」を深く掘り下げる問い「顧客はなぜ買うか」を考える必要があります。その方法がバリュープロポジションという考えです。
顧客は、商品価値にお金を支払いますから「顧客の求めている価値に対して(他社には提供できない)自社が提供できる価値」と云えます。その価値を発見することが目的です。ポイントは他社には提供できない価値、すなわち、「唯一の価値」を発見することです。この「唯一の価値」は、自画自賛ではなく、顧客から見た「唯一の価値」ですから、冷静に判断するスキルが必要です。冷静に判断するもう一つの方法は、第三者を交えて検討することです。